2012年2月23日木曜日

最強の1w感動の1h

今週はとにかく忙しかった。



先週。いつも通りウェディングドレスの依頼が来た。
内容を聞いてみて、色々不安だった。
出来るか。それに満足して貰えるか。
でも、これは作らないといけないと思って作った。




岩手にお住まいの、花嫁の旦那さんと花嫁のお母さん。
この2人にお会いしたのが先週。
古い、それは古い、津波で汚れてしまった3枚の写真を出して
「これを作って欲しい。」



そこから、私の1週間戦争が始まった。




30年前になる、その写真には、変わらない笑顔のお母さんが幸せそうに写っていた。
小さな教会の前で、お父さんと2人で写っていて、
全ビーズ刺繍入りのウェディングドレスを着たお母さんはそれはもう綺麗。

「これを作って欲しい。」

最初は「え?」と思った。

話を伺えば、津波で娘に着させようと残していたウェディングドレスが流されてしまったそうで、
今は東京で暮している花嫁さんは、結婚式の為に貸衣装を見に行ったみたいだけど、
あまり関心を示さなかったそう。

作ってあげたいのは山々だけど、
この写真に写っているドレスに似ている物は作れても、本物は作れないし。
花嫁さんは喜んでくれるか、不安になった。

しかも、制作期間は1週間。

さて困った。

そこにいた、オーナーに
「見ただけでサイズを合わせられるお前しか出来ないと思った。」
と、言われ、旦那さんとお母様のまっすぐな瞳に心を決めた。

やる。


お母さんと何度もやりとりをして、
生産はどこの国だったかを聞きだして、様々な生地に触れてもらった。
触り心地、着心地を確めて貰って、「これ!これよ!」と見てもらったり、
写真では確認出来ない所のデザインを出したり、
お母さんの体系からサイズを考え、写真のスケールに戻して
主なサイズ位置を割り出したり。。。
全ビーズ刺繍だから、位置の割り出しには苦労した。
レース部分もあるから、その写真を見ながらレースの作りなおし。
花嫁さんを遠くから観察して、サイズの割りだし。

そんなこんなで、色んな機械を屈指して、なんとか。。。

1週間本当に戦争だった。




納品の今日。

ヘアメイクのマキちゃんと、エステティシャンの奈々さんと、
マキちゃんの旦那さま運転で明け方にやっと出来上がったドレスを持って
わたくしボロボロの状態で納品に。

お母様から渡して貰いたくて、まずはお母様にご挨拶。
眠たすぎて、ちゃんと喋れず。

部屋の外で待機して、耳をそばだてた。

数分沈黙の後に、花嫁さんの奇声。

「うそ!うそ!うそでしょ!どうしたの!」

その言葉は聞こえた。

あとは、泣き声。

旦那さんが呼びに来て、初めましてとご挨拶。

花嫁さんの頭の上に「?????」が浮かんでいるのが見えた。

「元に戻すことは出来ないのですが、出来る限りの復元はしました。」

言葉が全く出てこなくて、本当に自分の馬鹿すぎる頭に申し訳無いと思いつつ
花嫁さんと目を合わすと

「ありがとう。本当に。」

と、言って頂けた。


もうそれだけで充分でした。



足元で3歳の花ちゃんと言う名前のお子様が、
心配そうに花嫁さんを見上げていた。

それからは、奈々さんとマキちゃんの出番で、
エステをしてもらって、ヘアメイクしてもらって、いざ式!

その間・・・・・・・・・・ソファで寝てました。あたし。

花嫁さんからの言葉で、スイッチが切れて爆睡。

起きたらそこには、お母さんと同じ笑顔のあの写真と同じ花嫁さんが。


仕事なので、式には出れませんでしたが、
幸せそうに、バージンロードに向かう花嫁さんの背中を見れて良かった。


この制作に付き合ってくれた、アトリエの全スタッフに感謝です。


もうとにかく本当にボロボロなので、
写真は後日、旦那さんかお母様に送って貰おう。

また1人。幸せにさせれた。
あの小さな花ちゃんが次は着てくれるのだろうか。
嬉しいな。そうなったら。

















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